常念山脈(長野) 前常念岳(2661.9m)、常念岳(2857m) 2020年6月20日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:53 三股駐車場−−2:10 三股−−4:00 2170m肩−−5:13 前常念岳−−5:56 常念岳 10:20−−10:54 前常念岳−−11:32 2170m肩−−12:29 三股−−12:40 三股駐車場

場所長野県安曇野市/松本市
年月日2020年6月20日 日帰り
天候快晴後ガス
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股駐車場
登山道の有無あり
籔の有無無しだが今年は整備が遅れて体に触れる笹あり
危険個所の有無無し
山頂の展望文句なしの大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメント今年初の北アルプスは梅雨の晴れ間の常念岳へ。北アは小屋が一つも営業していないため日帰り登山者のみで、週末の朝でも山頂は静かだった。既に登山道には雪無し。高山植物は咲き始めだった。帰りに今年初の雷鳥と遭遇できた。登山中に地震に遭ったのは初めて




深夜に三股駐車場発。夜間に到着の車多数あり ゲート
ゲートの注意書き。帰りに撮影 登山指導所。今の時期はまだ無人
登山口の注意書き 登山口の注意書き
三股分岐を常念岳方面へ 一部のみ登山道の整備がされていた
2170m肩 標高2200m付近。濡れた笹が被り、手で分けながら進む。冷たい!
蝶ヶ岳への稜線。既にほ雪は無い 東の空が焼けてきた
森林限界境界の梯子 朝焼けの奥穂高岳
朝焼けの北穂高岳 雲海から日の出
気温は+2℃。濡れた笹が冷たいわけだ 岩場を急登
前常念岳避難小屋 前常念岳
前常念岳から北を見ている
北斜面の残雪も僅か。登山道上に雪は無かった 旧巻き道分岐(今は廃道)
雪渓に自分の影が映る 常念小屋。まだ営業していない。幕営も禁止
縦走路に合流。週末なのに人影皆無! 最後の登り
山頂直下 常念岳山頂。無人だった
常念岳から見た穂高連峰〜槍ヶ岳
常念岳から見た裏銀座方面、立山、剱岳、後立山(クリックで拡大)
常念岳から見た乗鞍岳
常念岳から見た立山、剱岳
常念岳から見た後立山
常念岳から見た槍ヶ岳。小屋直下の雪渓にトレース無し 常念岳から見た燕岳
常念岳から見た木曾御嶽 常念岳から見た中央アルプス
常念岳から見た鷲羽岳と硫黄岳 常念岳から見た東側。一面の雲海で志賀高原、北信五岳は見えず
常念岳から見た蝶ヶ岳 蝶ヶ岳へ縦走する人。確認できただけで計7人いた
山頂がガスってきたので下山開始 イワウメ
黄色くないけどキバナシャクナゲ ミネズオウ。たくさん咲いていた
ミツバオウレン。たくさん咲いていた
今年初のチングルマ。数輪のみ開花 コイワカガミ
前常念岳の一等三角点 前常念岳避難小屋
アオノツガザクラ ツガザクラ
マイヅルソウ ニガイチゴかミヤマニガイチゴと思われる
カラマツソウの仲間で間違いないがミヤマカラマツ? すごく小さなカニコウモリに見えるがズダヤクシュらしい
三股
林道終点の車。おそらく蝶ヶ岳ヒュッテ関係者
ゲートの注意書き。幕営も不可なので日帰りのみ 三股駐車場到着。8割くらい埋まっていた


・今週は久しぶりに土日とも晴れの予報。もう気温が高く標高が低い場所では大汗をかくし虫が多いので、今週から10月くらいまでは涼しい北アルプス通いと決めた。

・残念ながら今年は新型コロナウィルス感染症の影響で、北アルプスの全ての小屋は営業休止中で、小屋宿泊はもちろん、幕営もできない状態なので日帰りで登るしかない。もしくはkumo氏のように寝ないで歩くか(笑) 私にはその元気は無いので日帰りで行くことに決定。

・場所は悩んだが、土曜日は弱い冬型のような気圧配置で北寄りの風が入って日本海側の天気回復が遅れるとの予報で、自宅からアクセスの良い後立山は避けて日本海から離れた常念山脈の常念岳とした。予報では朝から晴れとのことで大展望が期待できそう。

・コースは悩んだが、前日まで雨が降って沢の水量が増えている可能性が高いので三股発とした。逆にこちらは水が無いのが悩みの種だが、土曜の予想最高気温は長野市で20℃までしか上がらないとのことなので、常念岳山頂では寒いくらいで水の消費も汗の量も少なくて済みそうだ。それなら三股コースでも問題ない。

・三股駐車場には金曜夜9時前に到着。先客は1台のみ。まだ夏山シーズン前だし。小屋が営業していないので日帰りできる脚力がある人しか入れないので、車が少ないのも当然か。でも夜中には次々と車が上がってきた。天気予報は最高に近いからなぁ。

・できれば山頂で日の出を迎えたいが、それには0時近くに出発しなければならない。睡眠時間3時間以下で歩くのは厳しいので、4時間半の睡眠時間を確保して2時出発とした。暗い中を2時間ほど歩くことになり、日の出を迎えるのは樹林帯の中でだろう。

・目覚ましのアラームが鳴る前に起床。夜中1時半だが遠方からやってきた登山者だろう、まだ車が上がってくる。これから仮眠して日帰りは睡眠時間が確保できなくてきついだろうなぁ。

・軽く飯を食って予定通り2時前に出発。気温は寒いくらいで最初は長ズボンに長袖シャツを着て出発。念のために暑さ対策で麦藁帽子、濡れタオル、扇を持つが、山頂での防寒対策でジャンパー、手袋、毛糸の帽子、ネックウォーマーも持つ。夏と冬が同居した装備だ。

・ゲートには小屋は営業していないこと、登山は自粛して下さいとの看板ありだが、実力の範囲内で登るのならリスクは低いので問題ないだろう。夏山シーズンならこの時間帯でもハイカーの明かりが見えるが、今日は真っ暗だ。

・林道終点には1台の車あり。蝶ヶ岳ヒュッテの関係者だろう。小屋に人は入っていても残念ながら売店も営業していないので、水は自分で準備しないといけない。蝶ヶ岳の場合は今の時期なら蝶沢で水の補給が可能だろう。本日は約300ccの水を持った。

・三股で常念岳方面へ。雨上がり直後の登山道には新しい足跡は皆無。先行して登っている登山者はいないようだ。既に雨は上がって満天の星空だが、木の葉に残った水滴がポツポツと落ちてくる。濡れるほどではないので雨具は不要だが、首筋などに落ちると冷たい。気温は+10℃を割っていたが登りでは半袖でも寒さは感じない。北寄りの風が吹いているはずだが、ここは南斜面なので無風状態。

・午前3時ほぼジャストに地震発生。今年に入って穂高周辺を震源とする群発地震が続いているが、それだろう。体感で震度2くらいで揺れは数秒と短かったが、地鳴りの後に揺れが来て木から水滴が大量に落ちてきた。歩いている最中に地震に遭遇することは滅多にない、というか、歩いている場合はよほどの揺れでない限りは気付かない。しかし今は深夜で鳥の声もなく静まり返っているので、音で揺れが分かった。

・常念岳は百名山で三股ルートは一般的なルートなので登山道は完璧かと思いきや、今年はコロナの影響でまだ整備をしていないようで、両側から笹が微妙にはみ出して足を濡らす。今回は長靴ではなく防水性能が劣化した、いや、正確には防水性能が無くなった古い登山靴を履いているので、すぐに靴の中が湿った状態に。防水ワックスを塗ってくるのだったと後悔。

・標高1950m付近から2170m肩までは笹を刈り払ったばかりで、青々とした笹が路上に散乱していた。これから少しずつ刈り払いの範囲が広がるのだろう。

・標高2170m肩に到着してやっと傾斜が緩むが、この先は登山道がぬかるんだ場所が多くなるので端を通ったりする。特に昨夜まで雨だったので水たまりができた場所もあった。

・標高2170m肩以降は例年でも刈り払いされていないので、僅かな区間だが笹が盛大にはみ出した場所があり手で押し分けながら進む。しかし笹は濡れて手が冷たい! 温度計を見ると+2℃と冷え込んでいる。これじゃ水が冷たいわけだ。だからと言ってわざわざ雨具を出すほどではないので、しばしそのまま我慢して進んだ。

・徐々にシラビソの高さが低くなり森林限界の様相が濃くなってくる。既に周囲は十分に明るく東の空が赤く焼けてきた。樹林の隙間から見える蝶ヶ岳への稜線にはほとんど雪は残っていない。

・標高2360m付近にある梯子が森林限界の境界で、これを登れば展望が一気に開ける。ここはまだ日の出前だが、奥穂高岳や北穂高岳は朝日が当たっている。上空は青空で快晴! 今日は予報通りにいい天気になりそうだ。

・森林限界を越えると白い花崗岩と緑のハイマツに覆われた斜面をトラバース右に登って南向きの尾根に乗ってから一気に高度を上げていく。まだ濡れているハイマツを避けながらの急登。ライチョウがいないか探しながら歩いたが、往路では発見できなかった。

・そろそろ避難小屋という地点で尾根の東側にルートが移って日向に出る。まだ日が低いのでそれほど暖かくないし、まだ日焼けの心配をしなくていいだろう。この天気では日が高くなったら日焼け止めが必要そうだ。

・赤い屋根の避難小屋前を通過、巨岩の間を登って前常念岳の一等三角点を通過すると傾斜が緩んで山頂につながる稜線が見通せるようになる。念のために軽アイゼンを持ってきたが、どうやら尾根上に雪は無いらしい。見た感じでは山頂は無人。これが通常の土曜日だったら小屋泊りの登山者で今頃は賑わっている時間帯だろう。

常念岳〜前常念岳間で発見した水晶


・大きな花崗岩の稜線を進んでいくと、登山道上に花崗岩の濁った白ではなく透明な石のかけら(石英)を発見。その横には不完全ながら小さな六角柱の水晶の形状をした石があった。周囲は花崗岩が多く、花崗岩は水晶の成分となる二酸化ケイ素=石英を多く含んでおり水晶があっても不思議ではない。花崗岩はマグマが地底深くでゆっくりと冷えて固まった岩であるが、ゆっくり冷え固まる途中でマグマに含まれる水分が溶け残った箇所に徐々に集まり熱水の塊を作る。この熱水の中には二酸化ケイ素が含まれ、熱水の温度低下と共に結晶化して水晶となる、というのが基本的な水晶生成の仕組みだそうだ。もしくは地下から上がってきた二酸化ケイ素を含む熱水が岩石の割れ目に進入し、長い時間をかけて冷えて水晶が成長するパターンもあるという。どちらも岩の中に埋もれているので外から見ても存在は分からず、風化等で岩が割れて初めて姿を現すとのこと。常念岳で水晶が取れるとは聞いたことはなかったが、水晶が全く無いわけではないようだ。ただし、話に聞かないということはきれいな水晶が採れることがないのだろう。

・今は廃道となった旧巻道分岐を通過。なおも進む。キバナシャクナゲはちょうど咲き始め。ヨツバオウレン、コイワカガミが多く見られた。帰りに気付いたがチングルマが数輪だけ開花していた。山頂付近直下ではミヤマダイコンソウが多く見られるはずであるが、この時期は影も形も無かった。その代りにイワウメが咲いていた。

・常念小屋から上がってくる縦走路に合流。今日は人っ子一人いない。ここから最後の登りで常念岳山頂。やはり無人であった。

・朝はやや北寄りの風が吹いてたが快晴で、残雪を纏う槍穂、裏銀座方面、常念山脈がすっきりと見えていた。槍ヶ岳山荘直下の登山道を横断する雪渓上にはトレースは見られなかった。穂高岳山荘や槍ヶ岳山荘に至るルートは残雪に覆われ、まだアイゼン、ピッケルが必要だろう。南に目を向けると乗鞍岳、木曾御嶽、中央アルプスが雲海に浮かんでいた。

・東は背の高い雲海で、北信五岳や志賀高原の山々、浅間山も雲の下。新潟方面は天気が悪い予報だったので仕方ないだろう。最初は八ヶ岳も雲の下だったが、やがて赤岳、横岳のみ姿を現した。南アルプスは最初は微かに見える程度だったが徐々にはっきりして、最終的には甲斐駒から兎岳まで見ることができた。

・後立山は最初は雲に覆われていたが、やがて姿を現した。しかし時間経過とともに再び雲の下へ。立山、剱岳は最初は姿を現していたが日が高くなると後立山と共に雲に没してしまった。

・山頂到着は朝6時くらいだったが、7時になるまで次の登山者はやってこなかった。7時にやってきたのはトレラン姿の初老の男性だったが、三股から3時間15分で上がってきたとのこと! これから蝶ヶ岳に向かうとのこと。まだ山登りを始めて1年とのことだが、その前に何かスポーツをやっていないとこの脚力は無いはず。聞いてみると以前はマラソンをやっていたとのことで納得。

・次に登ってきた登山者は3人が同じような時間に到着。そのうち1人は長靴姿で高松から遠征してきたとのこと。関東甲信越の百名山、二百名山、三百名山クラスの山を連日登山とのことで、年齢は私と同程度だが凄い体力だ。明日も長野北部の山を考えているとのことで脱帽だ。当然のように蝶ヶ岳に向かっていった。

・その後も登山者がぽつりぽつりと登ってくるが、一ノ沢から登ってきた人はいなかったような。もしかしたら一ノ沢の林道は閉鎖中? 何だかんだでこの日に見かけた登山者は30人くらいだったと思う。通常の週末よりは格段に少ないが、日帰り限定と考えると結構な人数だとも言えそうだ。

・日が高くなると雲海の雲が上がってきて、10時過ぎには山頂もガスに覆われるようになったので下山開始。いつもであれば暑さを避けるためにもっと早い時刻に下山するのだが、今日は気温が低いので真昼間でもそれほど暑くはならないだろうとの判断。山頂での気温は測定しなかったが、おそらく+10℃前後だっただろう。ただし、日差しがたっぷりだったので体感的は暖かかった。

・私が下山を開始してもまだ三股コースを登ってくる登山者と数人すれ違った。朝に山頂に到着した登山者は体力的に余裕が見られたが、この時間に登っている登山者は体力的な余裕が無く、帰りの時間が心配になるほど。登山道が明瞭なので暗くなってもライトがあれば問題なく歩けるとは思うが・・・。

・下山はガスの中で展望は楽しめないので、高山植物を探しながらのんびり下った。山頂付近は8月ならミヤマダイコンソウがたくさん見られるが、この時期は葉っぱも出ていない。多く見られたのはミネズオウ。これは昨年は気付かなかった花で、今回下山後にネットで調べて覚えた花だ。キバナシャクナゲは咲き始めくらい。ミツバオウレンはたくさん咲いていた。チングルマは数輪のみ咲いているだけ。コイワカガミはたくさんあった。避難小屋から花崗岩地帯の下りでツガザクラとアオノツガザクラを発見。日差しぶりに見たのでツガザクラとコネモモの違いをすっかり忘れていた。大きな違いは葉っぱで、ツガザクラはシラビソのような針状の葉だがコケモモは丸みがかった葉っぱである。

・2170m肩から本格的な下りにかかると、ミニチュアのカニコウモリのような植物をあちこちで見かけた。もしかしたらカニコウモリが生えたばかりで小さい物かと思ったが、良く見ると葉の形状が異なる。下山してからネットで調べたらズダヤクシュという高山植物で、昨年には気付かなかったものだ。マイヅルソウは今年は飯縄山で見ているのですぐに分かった。

・下りはずっと雲の中で日差しが無く、ただでさえ今日は気温が低めだったので、お昼に下ったのに汗だくにならずに済んだ。おかげで本日の水浴びは必要無し。

・三股付近にも何種類か花が咲いていたが、これらは生えている場所が高山植物というほどの高度ではないので、ネットで種類を調べるのが大変。残念ながら種類は判別できなかった。

・三股に下って林道終点から林道を歩いていると、明らかに幕営装備の若者が上がっていった。今は幕営場でのテント泊はまだ禁止なので、どこか目立たない場所で幕営だろうか。私もそうしたいところだが、水確保の問題があるので雪が残っている場所でないと幕営は面倒だ。小屋は売店の営業さえしていないので、水の購入もできない。今はどこに行くにも水場が無い場合は行動に必要な量の水を担ぐ必要がある。

・三股駐車場に到着すると駐車スペースは8割がた埋まっていた。天気予報が土日とも良好だし、昨日に全国的に県境をまたいでの移動自粛が解除された影響もあるだろう。私は長野県民なので関係ないが(笑) 全国から登山者が集まって地元にお金を落としてもらわないと、長野県でも宿泊業を中心とした職種で売り上げが激減している。山岳ガイドも同様とのことで早く元の状態に戻ってもらいたい。


おまけ情報

 北アルプスの山小屋は7月14日までほぼ全てが休業で、15日から一斉に営業開始予定。小屋の宿泊は要予約なのは変わらないが、三密を避けるために収容人数の大幅カットは避けられず、どの小屋も予約は「プレミアムチケット化」しそうだ。そして幕営も予約制となるの要注意。幕営の予約はいったい何日前に埋まってしまうのか全く予想不可能で、私の場合、今年は幕営はせずに全部日帰りで済ませるかも。

 南アルプスについては、長野県に属する山小屋はほぼ全てでシーズンいっぱいの休業が決定している。塩見岳の山伏峠小屋や塩見小屋も今年は営業しないので、塩見岳は日帰り以外は不可能。東海フォレストの各小屋も今シーズンの営業は行わない模様で、椹島へのバス運行も無し。山梨に属する小屋がどうなっているのかは知らないが、事前に調査が必要だろう。小屋が営業しないと下手をするとバスが出ない可能性も。少なくとも伊那市が運営する長谷〜北沢峠の南アルプス林道バスは今シーズンの運休が決定している。今年の南アルプスは非常に人が少なく空いていると思われる。逆を言えば小屋が営業する北アの小屋予約競争率が・・・・。私も北アじゃなくて南アにするかなぁ。

 

山域別2000m峰リスト

 

ホームページトップ